セキセイインコの卵に関する情報まとめ

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インコ卵

セキセイインコのメスは1羽だけで飼育をしていても産卵をします。もちろん無精卵なのですが、卵を産むという行為自体がインコの体に大きな負担をかけてしまいます。この記事では、卵にまつわる病気とその予防策を解説します。また、巣引き(繁殖)に挑戦しようとしている飼い主さん向けの情報として、無精卵と有精卵の見分け方についても解説します。

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セキセイインコの卵にまつわる病気

1.一番多く発症するのが「卵詰まり」

卵詰まりの概要・症状

卵詰まりは「卵秘(らんぴ)」とも呼ばれます。卵が卵管内に詰まり、出てこない病気で最悪の場合死に至ってしまいます。セキセイインコのお腹が膨らんで固くなっているのに、1日以上たっても産卵しないときは卵詰まりが考えられます。初産、過産卵のインコで、特にビタミンやカルシウムが足らず、日光浴が不十分な場合によく見られます。気温が低く、日光浴不足になりがちな冬場に多く起こることも特徴です。床でうずくまる、食欲・元気がなくなる、羽を膨らませる、呼吸が速くなるなどが典型的な症状です。

卵詰まりの原因

卵詰まりの原因は大きく2つです。

・卵の殻の形成異常

卵の殻はカルシウムで出来ています。その卵の殻を作るのに必要なカルシウムは、ボレー粉などの餌から得るか、自分の骨を溶かして利用しています。この殻形成に必須であるカルシウムを十分に蓄えることができなかった、もしくは卵を産みすぎて貯蓄以上のカルシウムを使ってしまったら、、、
卵の殻の表面がザラザラとした不完全な卵が出来てしまうのです。そうなれば、卵は卵管の中をスムーズに滑り降りることが出来ず、卵管内で停滞してしまいます。

・卵管子宮部の収縮不全

カルシウムは卵の殻を形成するだけではなく、筋肉の収縮・神経伝達物質としても大きな役割を担っています。人間においても昔からカルシウム不足になるとイライラしやすくなると言われていますよね。これはあながち空事ではなく、カルシウムが不足すると筋肉や神経がうまく働かなくってしまうのです。
特にインコの産卵時において、このカルシウムが不足してしまうと子宮筋の収縮がうまく出来ず、結果卵を押し出せず卵管内に停滞してしまいます。

卵詰まりの予防と治療/対処方法

・予防方法

当たり前ではありますが、最大の予防方法はインコに「卵を産ませない」ことです。
初産は特に詰まってしまう可能性が高く、また産めば産むほどカルシウム不足に陥り、卵詰まりになる可能性・確率は上がってしまいます。卵を産ませないためには、いかに「発情を抑制するか」にかかっています。
発情を抑制する方法はいくつかありますが、最も効果的な方法は「発情しない体重まで餌の量を制限する」ことです。発情しない体重は個体毎に異なるので、一概に設定することは出来ません。インコの体調を見ながら徐々に餌の量を落とし、ベストな体重(元気だが発情しないライン)を模索する必要があります。

・治療方法

カルシウムとビタミンDをしっかり与えましょう。

「カルシウム」

一口にカルシウムといっても、様々な種類・摂取方法があります。

①ボレー粉
ボレー粉はカキの殻を砕いたものです。栄養素として申し分ありません。粒状性・溶解性もほどよく、大抵のインコは産卵期になると必要なだけ摂取してくれるので過剰症もほとんどなく、現在最も推奨されるカルシウム源です。

②塩土
塩土にはカルシウムが豊富に含まれているのですが、塩土から必要量のカルシウムを摂取しようとすると余計な成分(塩分等)を取りすぎてしまいます。

③ペレット
ペレットはカルシウムの過剰症にならないように厳密に計算されています。なのでペレットをしっかり食べてくれるインコには適した摂取方法です。しかし繁殖用やヒナ用のペレットはカルシウムが多く含まれていることもあり、必要がないときに与えてしまうとカルシウム過剰摂取による問題が起きることがあります。年中発情しているからと予防的に繁殖用ペレットを与え続けてはなりません。

④カルシウム剤(液体・粉)
飲み水に混ぜるだけなので、手軽に与えることができますが注意する点があります。それは液体であるために胃にとどまらず、卵の殻の生成にあまり有用ではないという点です。卵は通常夜間に作られますが、当然夜中に餌は食べませんので日中に摂取した餌を養分として生成されます。しかしカルシウムを液体に混ぜて与えてしまうと、夜間まで胃に残っていない可能性が高く、卵詰まりの改善に寄与しないのです。

「ビタミンD」

今までご説明してきたようにカルシウムは非常に大事なのですが、摂取してもしっかりと体に吸収されなくては意味がありません。ビタミンDはこのカルシウムの吸収を助ける働きがあります。

①日光浴
ビタミンDは植物には含まれないので、餌から摂取することが出来ません。しかし鳥類は日光浴をすることでインコ自身で体内にビタミンDを作り出すことができます。
日光浴を行うにあたり注意する点があります。それは「窓を開ける」ことです。ビタミンDの合成に必要な日光成分はガラスを通過できません。そのためガラス越しの日光浴はほとんど意味がありません。直射日光ならば15~30分ほどで十分とされています。

②サプリメント
野生下と異なり飼育下ではどうしても日光浴が不足しがちです。それは致し方ないことでもあるので、日光浴が足りない分をサプリメントで補うという考えを持っておく必要があります。しかしビタミンDは他のビタミンサプリメントとは異なり、中毒が起きやすく、容量に注意が必要なサプリメントです。ビタミンB群などは過剰に摂取しても尿として排出されるだけですが、ビタミンDは脂溶性であるため体内に蓄積される傾向があると言われています。
なので、ビタミンDサプリメントは最低限の量とし、残りは日光浴で補うという考え方が最も安全です。

・処置方法

すでに卵詰まりを起こしてしまった場合の対処方法についても記載しておきます。

まずはインコを保温(28℃~31℃)し様子を見ましょう。それでも卵を産まないようであれば、すぐに動物病院へ連れていきましょう。動物病院でカルシウムを注射すると、自力で産卵することがあります。自力で産卵できないときは、腹部を圧迫、最悪の場合は開腹手術が必要となります。

2.卵管炎

概要・症状

卵管が炎症を起こした状態です。卵詰まりや産卵のしすぎが原因で起こります。腹部が膨らみ、痛みのために自分の腹部をかんだり、蹴ったりすることがあります。重症になると、食欲不振などで全身症状が悪くなり、最悪の場合死に至ります。

治療・対策

重症の場合には、開腹による卵管の摘出手術が必要となります。

予防策としては、そもそも発情し産卵しすぎないよう飼育環境等の見直しが必要です。インコは卵の数を揃えて産卵しようとする習性がありますので、不必要に産卵を続けてしまうメスに対しては、
・10~20日間ほどそのまま暖めさせてあげる
・偽卵(ニセの卵)を与える
偽卵を自分が産卵した卵だと思い込んで、一定の数を超えて産み続けることはなくなります。

3.卵管脱

概要・症状

卵管の収縮運動が異常をきたし、卵管が裏返って外に出てしまう病気です。初産や過産期のインコが卵詰まり後に起こすことが多く、繰り返しやすい病気です。痛みから食欲不振になったり、羽を膨らませる、元気がないなどの症状が見られますが、特徴的なのはお尻から赤いものが見えることです。

治療・対策

外に出てしまった卵管はすぐに戻さないと、乾燥して壊死してしまいます。化膿止め等を塗った綿棒で中に押し戻すことが必要なのですが、家庭でこの処置は難しいです。外に出てしまった卵管を乾燥させないよう濡れたガーゼ等でくるみ、すぐに動物病院へ連れていってください。繰り返す場合は、動物病院で卵管摘出の処置がされます。

セキセイインコの有精卵・無精卵の見分け方

有精卵か無精卵かを見分ける方法はカンタンです。
太陽か電灯の方向に卵を透かしてみると、

・有精卵:黄身の部分に血管が走っているのが見える。
・無精卵:黄身は確認できるが、血管が見えない。

また卵の殻の手触りでも有精卵か無精卵か判断する方法があります。
無精卵はいつまでも白く、卵の殻の表面にはザラザラとした感触が残りますが、
有精卵は表面に光沢が見られるようになり、卵の色もくすんで見えてきます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
セキセイインコのメスを飼育する場合には、無用な発情・産卵をさせないことが飼育の肝となることがお分かり頂けたかと思います。別の記事で発情の抑え方を詳しく解説したいと思います。

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